君にキスをした

　
　懐かしい、二人育った土地。
　今では互いにばらばらで、年に1度戻るかどうか。
　そして君に会えるかどうかはわからない。
　社会人になって、休みも合わなくて、君は東京だし、アタシは福岡だし。
　
　でも、今年は逢えたね。

　二人、懐かしい横断歩道の手前、通る車もないのに、佇んで。
　君はアタシの左に、アタシは君の右に居る。
　昔から同じ立ち位置。
　君の奥に、灰色の建物。塔のように聳え立つ、螺旋階段を纏う塔。
　誰かが居るように見えたけど、遠すぎてわからない。
　そもそも、そんな塔、こんなところにあったっけ。
　無かったよね。
　嗚呼、夢を見ているのか。
　
　君に視線を戻す。
　昔からの身長差、変わらない。
　小柄な君。長い髪。きれいになったね。
　
　生ぬるい風が通り抜ける気がした。

　「あと、3ヶ月、だって」

　言葉が、ゆっくり、零れた。
　
　君が泣きそうに笑うから。
　アタシを見上げて笑うから。
　
　だから、君にやさしく、口付けて、アタシはゆっくりと横断歩道を渡って別れたんだ。

　君の命が、もう少しでも長くあるように。
　君が、泣かないで居られるように。

　そして、アタシが、寂しさに負けないように。


　
　だから、君にキスをした





　っていう夢見ました。
　いや、本当に。
　若干エコーかけてみたけど（何）、そんな夢。
　昔から付き合いのある友人に、余命を告げる夢。
　怖くなく、穏やかな夢だったけど、起きてから暫くすぎた頃に思い出して蒼白。
　全体的にグレーのイメージ。
　本当に、実家の近くの風景なのに、見たことの無い高い塔が彼女の奥に聳え立ってて、不思議だった。
　その時点で、あ、夢だ、って気づいたけど、起きるに起きれずに、彼女に余命宣告。3ヶ月。おぉぉ
　んでもって、何を思ったか、彼女にキスをした。
　なんでかわかんないけど、ちゅーしてたよ。なんでだ、、、
　
　とりあえず、夢占いしてみたら…
　余命宣告は、自分がうまく時間を使っていないことの象徴。
　高いタワーを見上げるのは、人間関係から生じる利害関係やそれにともなう強いストレス、または対人的なリスク、周囲の人の目が気になる脅迫観念などを表し、また遠くからタワーを見ているのは、身近な人間関係での不利な状況や立場、夢主が気がついていない事柄を表すそうな。
　友人（同性）へのキスは身近な人間関係で思わぬ展開があるんだと…

　時間と人間関係に問題があるんか。
　…開いた口が塞がらないくらい、ごもっともでありんす。苦笑
　とりあえず。
　いかんわ～。ああああああ。