帰る

　
　30年ぶりの帰省が実現します。
　
　母の実家は、新潟の佐渡市。
　兄を産んで、一度帰ったきり、それ以来九州を出たことがない母。
　アタシはアタシで、じいちゃんには逢ったことがない。
　手紙で毎年やりとりしていただけ。
　でもそんなじいちゃんが今年に入って脳梗塞で倒れ、入院して療養中。
　去年一昨年くらいから、「佐渡に帰ろう」と何度も誘っては、断られ、の繰り返し。
　でもようやく母の重い腰が上がり、9月の連休で佐渡へ帰ることに。
　母との二人旅です。初めてだよ、一緒にどこかへ遠出するの。
　外出があまり好きではない母。
　アタシも旅行はそんなに得意じゃないし、飛行機なんてまだ3回くらいしか経験がない。
　でも、後悔する前に、連れて行こう計画が実行できるのが本当にうれしい。
　連休だったので、航空券もホテルもギリギリの予約になったけど、間に合ってよかった。
　金はどうにかなる。というか、する。そのために働くさ。
　でも、時間は買い戻せないので、今のうちにしっかり逢っておきたい。
　じいしゃんはもう90をとっくに超えてしまっているのです。
　いつ二度と逢えなくなるかわからない。
　逢えるうちに逢っておきたい。
　逢えなくなってから逢いたいと後悔しても遅いので。
　じいちゃんに、なにか残るお土産を携えていこう。
　ぬいぐるみ、買っていこうかな。かわいいやつ。笑
　アタシの名前つけて、かわいがってくれ、とプレゼントしてみよう。
　…投げ捨てられたら、そのときはばあちゃんに預けよう。笑
　寝たきりの生活になってしまうから、ずっとそばに置いてもらえる様な、ぷりちーなやつを探そう。
　あとは、色紙を持っていこう。向こうで、じいちゃんとばあちゃんの似顔絵を描いて、渡そう。簡単な画材も持っていこう。喜んでもらえるような、元気の出るような色紙を作ろう。
　色色としたいことがあるなぁ。
　写真もいっぱい撮ろう。
　認知症が出ているらしいから、アタシのことわからないかもしれないけど、それならそれで仲良くなってこよう。
　見知らぬ若いねーちゃんと思われたっていいさ。寂しいけど。
　短い時間しか一緒に居られないけど、いっぱい思い出作ろう。
　じいちゃん、待っててね。
　そして母さん。気が変わったとか言うなよ。ホントに。苦笑
　
　あとは連休中に入っている、救急外来の当番さえ代わってもらえれば、どうにか都合がつく。
　明日からがんばって探そう。なかなか代わってもらえないだろうけど。
　全員に当たってみれば、その内だれか代わってくれるはず…。
　がんばるぞ。

　でも、今から緊張するなぁ･･･
　母の兄妹にも逢ったことがないので、いろんな意味で緊張だ。
　仲良くなれるといいなぁ。うーむ。